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カシミールに行ってきます [@日本]

来週からカシミールに行くことになりました。もちろん一応退避勧告地ですので、観光ではなくお仕事です。当地での職場環境等、まだ不明ですが、ネットの接続が出来たら、ブログにも色々現地情報を書いていきたいです。
とりいそぎ。


マリファナの科学 [@日本]

マリファナの科学

なんだか読書日記みたいになってきた。

今日のは「マリファナの科学」レスリ-・L・アルヴァ-セン著。

日本で自衛官が違法所持して逮捕されたのは最近の話。大英帝国の「サー」の称号を持つエルトン・ジョンですら、以前所持がばれて日本入国を拒否され、さらに5年間入国禁止になった。
ひるがえってイギリス、ヨーロッパではマリファナ(別名カナビス)は広く使われている。といっても違法なのは違法だし、普通に留学してて「関与」することは滅多にない。だけど、ふと、無作為に個別に聞いてみた欧米系学生4名は、全員「違法だけど吸ったことあるし、みんなで集まって渡されたら吸うよ?」と見事に答えたし、「ドイツの学生の周りではハシシブラウニーがよくー」とか、「スペインで夜中遊びに行くとき、現地の友人がハードな錠剤飲んでてさ、スペインでは結構あるらしいけど、あれはちょっと無理かな」なんてのたまう。ちなみにヨーク大学でも構内に売人がいるらしいし(複数談)、これはヨークだけじゃなくて、SOASや他の大学もそうらしい(blog,複数談)。ロンドンでも、治安の悪い辺りを夜歩けば、すすすーっと売人が寄って来て「スカンク」とつぶやく。(スカンクとは大麻の品種の一つ)まぁ、これは誰にでも声かけるのではなく、たまたま吸う友人と歩いてたからだろうけど。

ちなみに「あの子は留学中、とんでもない不良たちに囲まれてたのね!」と思われるかもしれない。が、ヨークは一応ランキング7位以内に入る大学だし、「吸う」という人たちも極めて普通の普通の人たち。ちなみにWHOの報告書(1997)によれば、世界の大麻使用普及率(15-50歳)、つまり国民の中で大麻を使用したことのある割合は、デンマーク(1994)37%、米国(1996)32%、英国(1994)20%。つまりイギリス人の「大人」の5人に1人は「吸ったことがある、または吸っている」に属することになる。

私はマリファナを吸わないし、ドラッグは「不必要」だからいらない。そんなのなくても幸せになれる。だけどある知人の一言が気になったのだ。「タバコや酒の方がずっと人体に害なすものなのに、どうして法律で決まっている間違ったことに従うの?」

人間の善悪の判断、規範・道徳・モラルの設定とはなんなんだろう?私が嫌悪感を抱くのは日本人としての今までの教育のせい?マリファナの「正当化」のためにタバコや酒の悪を引き出すことは妥当なこと?悪法は悪?


マリファナの科学 [導入] [@日本]

[導入]
さて。以前マリファナについてネットで調べてみたときには、賛否両論のどちらかのベクトルがかかった2次、3次情報だらけで、「自分の判断材料として」使えるものがなかった。

これはタバコ会社も然り。彼らは「喫煙による肺がんのおそれがある」とした上で、嗜好品としてタバコを売る。「酒、麻薬と比べて依存性が低い」と医学データを見せ、コントロール可能な「嗜好品」として、安全性をアピールしている。

データは、作れる。

だから。マリファナ賛成派は、彼らに有益なデータを、反対派は彼らに有益なデータを、それぞれもって論じることができる。そう考えると、一体何をもとに判断すればいいのか?

そんな問題を解決してくれたのが、この本、「マリファナの科学」。
著者はレスリー・L・アルヴァ-セン。オックスフォード薬学部及びインペリアル・カレッジ医科大学臨床薬理学部客員教授。英国王立学会特別研究員だ。

「マリファナの科学」が判断材料として良いと思った理由は下記の通り。
マリファナを推奨も否定もしていない。完全な中立の立場から議論、データを収集。
データの徹底解説:賛成派が掲げるデータ実験の問題点、反対派が掲げるデータ実験の問題点、双方を論じている。
医薬品としての有効性と嗜好性としての有効性を別に検討している

つまり、自分でゼロから賛否を考えたい人への情報集。もちろんこの本全てを鵜呑みにするというわけではないけれど、材料としては信頼できると感じた。

というわけで、前回の問いに対する私なりの見解が次回に続く。


マリファナの科学 [本編] [@日本]

マリファナの科学 [本編]
賛否両論と研究の難しさ

まず面白いのが「研究の難しさ」
動物実験の結果がそのまま人体実験と同じにはならないし、人体の健康、精神状態で結果が変わってしまうし、そもそも大麻の品種、産地によってマリファナの成分THCの含有量が異なる。また大麻の主要成分の単離に成功したのは1940年に入ってからであり、研究はまだまだ「これから」。しかし賛成派、反対派は動物実験のデータを持って有害性を説いたり、また反対に「証拠がない」から「実害がない」と主張したりしてしまう。

そんなわけで、私なりに賛否の意見を出して、それに対して考察してみることにした。

マリファナ反対派の意見①「マリファナは体に悪い」
マリファナ反対派の意見②「マリファナはドラッグ。ドラッグは依存性がある」
マリファナ反対派の意見③「マリファナは他のドラッグの窓口となる」

①まず、体に悪いーという定義が何か?など、一概に言えない。ただ、タバコ=肺がんのようなものは見つかっていない。アルコールのように過剰摂取での死亡例はほとんどない。長期使用により人間の脳、免疫機能、受胎能力や性機能に著しい損傷をもたらす証拠もない(p203)。
②習慣的使用者(一日に3-4本)は、米国精神医学会の定義による薬物依存に関するDSM-ⅠⅤ基準に基づけば、多くが「薬物依存」と診断されることになる(p125)。しかしこの基準によるマリファナの依存率は9%、アルコールは15%、タバコは32%、ヘロイン23%、コカイン17%(1999年)。依存性があるとしても、アルコールやタバコより低い。また、動物に大麻を与えつづけると依存や禁断症状につながるケースがあるが、それが人間の大麻使用者にとっても深刻な結果と言えるかについては、まだ研究が足りない(p133)。
③社会学的に、マリファナを通じて不法薬物のはびこる地下社会を知ることで、使用者が他の不法薬物を試す機会を与えられると考える説がある。ちなみに、これに基づき、地下社会に触れさせないよう、マリファナだけならーということで、マリファナを合法化しているのがオランダ。
一方神経生物学的には、マリファナの主要成分THCのド-パミン放出機能に着目。この機能はアルコールやニコチンと同じ働きをするので、マリファナ、酒、タバコともコカインヘロインアンフェタミンへの「玄関口」的薬物とみなせる。しかしメカニズムをみると、マリファナのTHCはどの向精神薬よりもモルヒネやヘロインに近似性を持っている。

マリファナ擁護派の意見①「マリファナは薬としても効果が認められている」
マリファナ擁護派の意見②「マリファナはアルコール・酒に比べて安全で依存性が低い」

①著者はがん治療、エイズ消耗症候群、痛み、多発性硬化症、緑内障、癲癇、気管支喘息、抗鬱と睡眠など具体的な実験例を提示。マリファナの主成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノ-ル)には色々な効力が認められるとし、大麻製剤の適応症として考えられる疾患は数種類に上るが、現代的基準からすると、そのほとんどのケースで臨床的効果についての証拠がはなはだ不十分である(p194)。と結論づける。
また、忘れてはならないのは、「薬として認められるから人体に問題はない」と考えるのは安易であるということ。モルヒネだって、アヘンから取れる。また面白いことに、THCは、大麻の品種や産地によって含有量が異なる。摂取(吸引、経口)方法でも、人間の健康、精神状態でも吸収が左右され、結果は一定にならない。だから「THCの効力は認められている」=「マリファナ吸引が安全、良い」とは言い切れないのである。
②アルコールの摂取による向精神効果は「暴力」的であり、破壊行為につながることが多いのに比べ、マリファナは人を「リラックス」させる。また、タバコは毎日数十本吸うのが多いのに比べ、マリファナを嗜好する多くの人は週に1度のペースである。しかしだからといってマリファナよりタバコが有害とは言えない。というのも、前者がTHCを含有し、後者がニコチンを含有する事実を除けば、吸引時における煙化合物の特徴がきわめて似通っているからだ(p213)。さらにタバコに比べ、マリファナ吸引では、一酸化炭素の吸収量が5倍、肺に取り込まれるタール量は4-5倍になるという(p215)。

と、ここまでくると、「では何故アルコールやタバコは合法で、マリファナは違法なのか?」となるが、ここからは政治的問題も大きく関わってくる。ここでは長くなるので割愛する。


マリファナの科学 [結論] [@日本]

マリファナの科学 [結論]
最後に、酒、タバコが合法とされて、マリファナだけが違法とされる根拠が不明であることから、悪法は無視してよいという論が残る。

酒気帯び運転も、スピード違反も、「やってる人が多いけど、バレたら捕まる」違法さである。これらは他人の命を危険にさらす「犯罪」でありながら、みんなで渡れば怖くない-日本ではよくある犯罪ではないだろうか。ヨーロッパでのマリファナ吸引も、感覚的には日本のスピード違反と同じなのだろう。つまり、”見つかったらスケープゴート(ちなみに英国外相のジャックストローの息子も数年前に検挙されていた)”。
そして日本でのマリファナ吸引がスピード違反より「重罪」なのは、みんなで渡ればーの母数が少なく、また「非社会的」という教育が厳しいからだろう。

健康、依存性、及びハードドラッグへの危険性を考える場合、たまにマリファナを吸うくらい、現在わかっている範囲では、問題は少ないようである。しかし、結論を立証できるデータは足りない。また、アルコール、ニコチン、マリファナ、全てに長短がある。
しかしマリファナ利用の理由として「薬として認められているから体にいい」というのは詭弁であるし、そもそもTHCを化合物として経口使用するのと、吸引するのでは大違いである。

そして、ソクラテスが言うように、悪法も法である。毒杯は仰ぐべき。そうでなければ違法でない国に移住し、その国民となって、その国で堂々と吸えばいい。もしくは社会運動としてマリファナキャンペーンを張って、合法化させてから吸えばいい。


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