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マリファナの科学 [本編] [@日本]

マリファナの科学 [本編]
賛否両論と研究の難しさ

まず面白いのが「研究の難しさ」
動物実験の結果がそのまま人体実験と同じにはならないし、人体の健康、精神状態で結果が変わってしまうし、そもそも大麻の品種、産地によってマリファナの成分THCの含有量が異なる。また大麻の主要成分の単離に成功したのは1940年に入ってからであり、研究はまだまだ「これから」。しかし賛成派、反対派は動物実験のデータを持って有害性を説いたり、また反対に「証拠がない」から「実害がない」と主張したりしてしまう。

そんなわけで、私なりに賛否の意見を出して、それに対して考察してみることにした。

マリファナ反対派の意見①「マリファナは体に悪い」
マリファナ反対派の意見②「マリファナはドラッグ。ドラッグは依存性がある」
マリファナ反対派の意見③「マリファナは他のドラッグの窓口となる」

①まず、体に悪いーという定義が何か?など、一概に言えない。ただ、タバコ=肺がんのようなものは見つかっていない。アルコールのように過剰摂取での死亡例はほとんどない。長期使用により人間の脳、免疫機能、受胎能力や性機能に著しい損傷をもたらす証拠もない(p203)。
②習慣的使用者(一日に3-4本)は、米国精神医学会の定義による薬物依存に関するDSM-ⅠⅤ基準に基づけば、多くが「薬物依存」と診断されることになる(p125)。しかしこの基準によるマリファナの依存率は9%、アルコールは15%、タバコは32%、ヘロイン23%、コカイン17%(1999年)。依存性があるとしても、アルコールやタバコより低い。また、動物に大麻を与えつづけると依存や禁断症状につながるケースがあるが、それが人間の大麻使用者にとっても深刻な結果と言えるかについては、まだ研究が足りない(p133)。
③社会学的に、マリファナを通じて不法薬物のはびこる地下社会を知ることで、使用者が他の不法薬物を試す機会を与えられると考える説がある。ちなみに、これに基づき、地下社会に触れさせないよう、マリファナだけならーということで、マリファナを合法化しているのがオランダ。
一方神経生物学的には、マリファナの主要成分THCのド-パミン放出機能に着目。この機能はアルコールやニコチンと同じ働きをするので、マリファナ、酒、タバコともコカインヘロインアンフェタミンへの「玄関口」的薬物とみなせる。しかしメカニズムをみると、マリファナのTHCはどの向精神薬よりもモルヒネやヘロインに近似性を持っている。

マリファナ擁護派の意見①「マリファナは薬としても効果が認められている」
マリファナ擁護派の意見②「マリファナはアルコール・酒に比べて安全で依存性が低い」

①著者はがん治療、エイズ消耗症候群、痛み、多発性硬化症、緑内障、癲癇、気管支喘息、抗鬱と睡眠など具体的な実験例を提示。マリファナの主成分であるTHC(テトラヒドロカンナビノ-ル)には色々な効力が認められるとし、大麻製剤の適応症として考えられる疾患は数種類に上るが、現代的基準からすると、そのほとんどのケースで臨床的効果についての証拠がはなはだ不十分である(p194)。と結論づける。
また、忘れてはならないのは、「薬として認められるから人体に問題はない」と考えるのは安易であるということ。モルヒネだって、アヘンから取れる。また面白いことに、THCは、大麻の品種や産地によって含有量が異なる。摂取(吸引、経口)方法でも、人間の健康、精神状態でも吸収が左右され、結果は一定にならない。だから「THCの効力は認められている」=「マリファナ吸引が安全、良い」とは言い切れないのである。
②アルコールの摂取による向精神効果は「暴力」的であり、破壊行為につながることが多いのに比べ、マリファナは人を「リラックス」させる。また、タバコは毎日数十本吸うのが多いのに比べ、マリファナを嗜好する多くの人は週に1度のペースである。しかしだからといってマリファナよりタバコが有害とは言えない。というのも、前者がTHCを含有し、後者がニコチンを含有する事実を除けば、吸引時における煙化合物の特徴がきわめて似通っているからだ(p213)。さらにタバコに比べ、マリファナ吸引では、一酸化炭素の吸収量が5倍、肺に取り込まれるタール量は4-5倍になるという(p215)。

と、ここまでくると、「では何故アルコールやタバコは合法で、マリファナは違法なのか?」となるが、ここからは政治的問題も大きく関わってくる。ここでは長くなるので割愛する。


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