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写真について [日英比較のおはなし]

「本当に日本人ってなんでも写真撮るんだね」と、イギリス人のフラットメートに言われた。フラットのお別れ会でのことだ。
私は、キッチンで皆が自然に話す写真が撮りたかっただけなのに。

日本フィーバーで日本ネタが最近多い英国CMでも、ロンドンの2階建て観光バスに満載の日本人がパシャパシャ写真を撮ってるシーンがあった。
以前ロシアの洗剤のCMで日本人エキストラをした時、「観光客役」と指示されていなかったにもかかわらず、私を含め、呼ばれた日本人ほぼ全員がカメラ持参で撮影場所に来ていて、コーディネーターが妙に感心していたこともあった。

極めつけが、友人とロンドンのバス停に立っていたときのこと。
近所の大学生と見られる日本人が、仲間達に「あ、ちょっと待って」と英語で言って、振り向き様、夜空にオレンジ色に鈍く照り返るバス停を撮ったのだった。
「なんで日本人はあんなものを撮るんだ?」と呆れる英国人の我が友に、私はふつふつと怒りを感じた。

私は思う。美しいものを残したいと思うのは、自然な行動だ。そして、電灯を照り返し、柿色のやわらかい光を夜空に解き放つ、無機質な白いバス停に「美」を感じられない英国人こそ、哀れまれるべき。
私は思う。「思い出は記憶しておけばいいことで、いちいち写真に撮るのは好きではない」という姿が“高尚”なのではない。それと同等に、「思い出を形に残し、皆で観賞する」のも文化の一つの形である。
私は思う。「写真を撮る姿」しか知らない外国人は、残念に思うことだろう。そこでどのような絵が撮られているか、どのような瞬間が切り取られているのか。撮られた写真がどのように、友人、家族の中でシェアされるのか。知ったらきっと、その文化、技術と感性は、寿司やマンガと同じくらい敬意を払われるかもしれない。


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Tomo

日本人にカメラって、よっぽど知られた組み合わせなのかもしれませんね。私もペンザンスからランズエンドに行くバスの中で、カメラ持ってないなかったら、日本人なのにカメラ持ってないのって言われました。昔はつっぱって旅先でも写真とらなかったのですが、やはりあとで鑑賞する楽しみには勝てず、最近はたくさんとっています。
by Tomo (2005-10-17 23:47) 

chipa

tomoさん、はじめまして。
いつのまにか実家にマスターキートンが全巻そろってて、ちょうど読み終わったところでした。笑。
by chipa (2005-10-19 15:23) 

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